November 23, 2003
政府に望むこと~貿易

ところで、有利な立場での貿易とはなんだろうか。実はこれは非常に逆説的であるが、関税や輸入制限などを撤廃し自由に貿易をさせる、つまり自由貿易を行うということである。自由貿易の方が管理貿易よりも優れているのは、古くリカードの比較生産費説で説明されているし、近隣の自由貿易国と管理貿易国の衛星写真を見ても国富の量の違いが一目同然でわかる。結局何も規制しない、政府がよけいなことをしないのが一番いいという、あまり力の入れようがない萎え萎えな結論である。
さらに、多くの日本人が誤解している点がある。過去はいざ知らず、現在日本において貿易の占める重要性は非常に低い。日本の貿易額がGDPに占める割合はたったの15%しかない。しかも貿易摩擦の原因になる膨大な貿易黒字も、GDPに比してたったの2%しかない。そして主要な貿易品目は石油である。これは他の先進国でも同じで、貿易立国と一般に考えられているアメリカ合衆国もGDPに占める貿易額は12%、貿易赤字はたったの1%である。しかも輸入と輸出がほぼバランスしているので、為替レートが10%や20%変わったとしても国民経済に与える影響はほぼゼロである。つまり外交は一生懸命やったところで国富の増加にはあまり寄与しない。たとえばイラクや北朝鮮が脅威であっても(仮にミサイルを東京に向けていることが判明しても)、彼らが世界革命など、宗教的なメリットではなく自国の金銭的利益に集中している間(要するに現在である)は、実際のところ国民に何も影響を与えない。同様に貿易摩擦で相手国が制裁を行ってもこちらが相手国を含めて自由貿易を守っている限りほとんど影響を受けることはない。要するに外交というものは確かにエキサイティングであるが、遠い世界で起きているどうでもいい茶番であるといえる。これが今の日本の状況である。
これが発展途上国であれば話は別である。たとえば韓国をはじめとするアジアの新興諸国は経済の非常に大きな部分を貿易に頼っている。OECD加盟国の韓国ですらGDPの40%が貿易である。このため外交が経済の大きな部分を左右することになる。EU諸国は地理的・歴史的に特殊で、たとえばフランスの場合、貿易高がGDP比40%である。ただしEU諸国には経済運営を自立的に行う権限は与えられていないので他の場所で考察したい。

Posted by senyo at November 23, 2003 10:34 AM
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