ESRI,ESRI Discussion Paper No.59 - 金融政策の波及チャネルとしての為替レート
1.趣旨及び背景(略)
その中で残された手段として言及されるのが為替レートを通じた金融政策である。為替レートを通じた金融政策の可能性を探るためには,各種為替レート決定理論の妥当性を知る必要がある。
3.分析結果の主なポイント
得られた結果は以下の3点である。第1に,金融政策の指標としてベースマネーを用いる方が,マネーサプライを用いるより,大きな説明力を有するということが確認された。第2に,為替レートに対して日米ベースマネー比と期待インフレ率の影響が大きい。第3に,ベースマネー増減を伴わない不胎化された為替介入や,公表介入額に基づいた為替介入の指標はモデルに追加的な説明力を与えないこと確認された。これらの結果より,金融政策に関わる変数であるベースマネー,期待インフレ率が為替レートに与える影響は非常に大きく,不胎化介入などベースマネーの変更を伴わない金融政策の説明力が弱いことが導かれる。
ベースマネー(もしくはマネタリーベース)は、おおむね国内で発行されているお札の量(+日銀当座準備-銀行保有現金)と思えばいい。長期的にはお札の発行残額で為替相場が決まるという結論。
あまりにも当たり前すぎる話。アメリカと日本でビックマックの値段を比較したとき、3ドルと300円だったなら、その後日銀がすべてのお札にゼロを一つ書き足すだけで、ビックマックの値段は10倍、つまり3000円になる。為替レートは10分の一に。
たくさんお札を発行すれば(量的緩和すれば)、それだけ為替レートは円安にふれる。今円高なのは、要するにアメリカよりもお札発行量・増加量が足りないってこと。別に日本が経済的に強いわけでも将来性があるわけでもない。ちなみに言っておくと、政府・日銀がしきりにやっている為替介入は不胎化介入といって、一時的に調整する効果しかなく長期的には為替レートに影響を与えない。というか、人為的に為替レートを変更するのは実質的に禁止されている。実際、これまで売った円を年末年始に買い戻しているので1ドル=105円までいってしまった。長期的に効き目があるのは円を売るとともに量的緩和を拡大する非不胎化介入だけ。これは昨年5月に行われたきりで、もう行われていない。
今回も、こうやったらこうなるっていう、古くからある経済学が正しいってことを示しただけで、実務的には何も前進してない。がっくり。
そういえば大統領経済諮問委員会のマンキュー委員長(元ハーバード代経済学部教授)が谷川財務大臣に金融緩和を積極的に勧めたらしいが、何を言われたのかわかってないだろうなぁ。